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 副理事長 児玉 基 博士 令和2年取得
 理事 日江井 榮二郎 博士  令和4年
瑞宝
中綬章(教育研究功労) 受章

​ご挨拶

 

一般社団法人児玉教育総合研究所

 理事長(代表理事・業務執行理事)・ 所長  児玉 敏雄

副理事長(     業務執行理事)・副所長  児玉 基

 この度は、一般社団法人児玉教育総合研究所の公式ウェブサイトをご訪問頂き、誠にありがとうございます。

 一般社団法人児玉教育総合研究所(略称:児玉教育総研、英文表記:Kodama Education Research Institute、英文略称:KERI、主たる事務所:東京都府中市、法人番号:4012405004109。以下、当法人という。)は、児玉九十の誕生日11月15日にちなみ、2017(平成29)年11月15日、法人設立登記申請を行い、同20日、完了いたしました。​

 

 当法人の目的と事業は、次の通りです。

「この法人は、児玉九十が提唱し、児玉三夫が継承した真実の教育、すなわち、万有生成発展の大原理たる和を中心に、指導者の誠の心をもって、森羅万象を教材として、指導を受ける者の自然の心を誠の心に育て上げ、健康で真面目に努力する世界に信頼される人を育成する教育に資する事業を推進し、もって我が国における学術教育研究の発展に寄与することを目的とする。

 この法人は、上記の目的を達成するため、次の事業を行う。

(1) 児玉教育に関連した学術調査、教育及び研究
(2) 児玉教育に関連した研究会、講演会及び各種イベント等の開催

(3) 児玉教育に関連した広報活動
(4) 児玉教育に関連した学術教育研究の奨励及びその支援
(5) その他この法人の目的を達成するために必要な事業」

 まず始めに、世界唯一の正統な児玉教育の学術教育研究法人である当法人が、その目的に掲げた「児玉九十が提唱し、児玉三夫が継承した真実の教育、すなわち、万有生成発展の大原理たる和を中心に、指導者の誠の心をもって、森羅万象を教材として、指導を受ける者の自然の心を誠の心に育て上げ、健康で真面目に努力する世界に信頼される人を育成する教育」を、どのような歴史的資料に基づいた科学的道義心による考察によって、児玉九十の言説から忠実に編纂したのか、皆様にご説明申し上げたく存じます。

 児玉九十は、静岡県立掛川中学校(現在の静岡県立掛川西高等学校)在学中、「報徳思想(至誠・勤労・分度・推譲)」で知られる二宮尊徳先生の直弟子である岡田良一郎先生から教えを受け、第四高等学校(現在の金沢大学)および東京帝国大学にて、東洋史・東洋思想を深く学びました。そして、児玉九十は、教員人生の師、成蹊学園の中村春二先生と出会い、岡田式静坐法(岡田虎二郎氏が考案し、大正時代に流行した)に座禅の精神を取り入れた独特の修養法「凝念」、成蹊実務学校校歌『心の力(心力歌)』(中村春二先生の構想に基づいて小林一郎先生が作られた)などによる個性尊重の特色ある教育法に基づき、「信」の概念を内包する「至誠(誠の心、真心、まごころ)」とその師弟共鳴を特色とする教育実践に深い感銘を受け、生涯、「終始一誠意」で「至誠」に基づく「真実の教育」を提唱いたしました。

 

 児玉九十が「真実の教育」を貫いた「終始一誠意」の原動力が何であったのかは今日『成蹊学園百年史』に述べられた「児玉は円満な性格の人格者で、中村の教育方針を最もよく理解し実践した人であり、中村からも全幅の信頼を受けていた」という一文、その他の詳細によって、簡潔に歴史考証をして頂き、当法人は、学校法人成蹊学園ならびにご関係の皆様に対し、大変感謝申し上げる次第でございます。

 

 そして、児玉九十は、大正後期の欧米教育視察を経て、中村春二先生始め多くの皆様からの「全幅の信頼」に応えるため、児玉教育の新たな一歩を踏み出すべく、1927(昭和2)年4月、教員人生の一大決心をもって、次のように述べております。

 

 「真実の教育とは何かと申せば、指導者が真心を以て生徒を導き、其の至誠の導きに依って、生徒の自然の心を真心に育て上げる事であります。」

 

 「真の教育とは生徒をして、真に世の中に迎えられ信頼され、世の進歩向上発展に寄与する人物たらしむることを以て根本目標とすべきであると信じます。世人から信頼され喜んで迎えられるには人格が出来て居らねばなりません。人格を磨くには宇宙の大道に合致する修行が必要であります。其の大道は学問研究に依らずんば明らかにする事は出来ません。学問に依って明らかになった道は之を日々の実践に依って体得致さねばなりません。」

 当法人設立にあたり、百年以上の長きにわたる児玉教育の歴史的経緯に鑑み、児玉九十が中村春二先生より賜りました曹洞宗第9代管長・曹洞宗大本山永平寺第66世の日置黙仙禅師書『至誠』を当法人の公式ウェブサイト上部に掲出しました。日置黙仙禅師書『至誠』は、児玉九十の自著などにも歴史的な重要性が述べられ、中村春二先生が児玉九十に託した「至誠」を、今日に伝える大変貴重な書であります。

 

 いつ如何なる試練があろうと、児玉九十、児玉三夫、児玉伸雄の児玉家歴代は、日置黙仙禅師書『至誠』を始め「児玉教育における三種の神器」とも表現すべき歴史的資料を大切に継承して参りました。これは、私達の世代においても全く変わることはありません。日置黙仙禅師書『至誠』は、児玉教育の第二世紀も「由緒正しき正統な児玉教育の暖簾」として、当法人の目的を正確に伝えていくことでしょう。

 また、児玉九十は、戦前・戦中・戦後の代表的著書『両親教育』に『信頼される子を作れ』という一節を設け、児玉九十が大正から昭和初期に教育の主眼とした商業系職業人の理想像について、ある実業家の言葉を引用して、「金庫の鍵を安心して任せられるような、信頼できる人」すなわち「少くとも正邪善悪の判断がつき、誠実に任務に服する責任感が強く、しかも人情豊かで人と調和してゆくことができる者」の育成が肝要であるとの見解を述べました。

 

 常に保守から革新に至るまで各界に幅広い「万有生成発展の大原理たる和」をなした児玉九十とはいえ、一般に、保守派教育者として、認識されております。しかしながら、戦時の為政者からの政界出馬要請も「教育者は政治に関わるべきでない」との一念で断固拒否して、このように、終始一貫、教育理念も全く揺らがず、「終始一誠意」で「世界に信頼される人」の重要性を説いた点は、特筆に値します。

 

 『信頼される子を作れ』に記された「この頃は、ちょっと間に合う小利口な人間や目先の利く手腕家は幾らでもある」、「全く現代の人々は小賢しくなって、信用できる誠実さが益々薄らいで来ております。これは外観を飾ることに夢中で、内に深い人格の根本を養うことが忘れられている結果と思います。かかる風潮は平時でも恐るべきことですが、長期建設を目指す現在の日本に於ては、一刻も捨ておけない重大問題であります。」は、児玉教育が育成してきた「世界に信頼される人」の重要性を、時代を超越して、説いていると感じます。

 

 今般、大組織の経営不振や多くの疑惑が相次ぐのも「金庫の鍵を安心して任せられるような、信頼できる人」の欠乏に起因するところ大であり、私達は、科学的道義心に基づいて、児玉九十が提唱した「真実の教育」を噛み締め、警鐘を鳴らす次第です。いつ如何なる時代も「世界に信頼される人」という言説を全く曲げなかった児玉九十の意思の強さを窺わせる一節であり、私達は、大変誇りに思っています。

​ 児玉九十が提唱した「真実の教育」を貫く「世界に信頼される人」という大目標は、当然、戦後も全く変わらずに続いております。

 

 児玉九十は、1958(昭和33)年、児玉九十の教え子、岸信和 内閣総理大臣 秘書官のご代読によって、そのご尊父で、児玉九十を信頼し、ご子息の教育を託してくださった、岸信介 内閣総理大臣のお言葉を賜った席上にて、次のように述べております。

 

 「此の様に戦前と戦後とでは外形上には大なる変化を来たして居りますが『世界に信頼される日本人』の育成のために『指導者の誠の心で、森羅万象を教材といたしまして、生徒児童の自然の心を誠の心に育てあげる』という教育の理念と、ヒューマンタッチ即ち人格接触の方法により、人生の武器たる学力と体力を錬ると共に、此の武器を正しく使用する心の力、即ち品性を磨くことに力を用いるという建学以来の教育の根本方針に至っては、終始一貫して毫も変化はないのでございます。」

 

 「如何なる濁流に遭うとも決して進路をふみはずすことなき、たのもしき人材の育成に邁進いたしたい」

 また、同じ席上、児玉九十の人柄、教育理念、私学界における足跡について、ご同席の皆様より、次のお言葉を賜りました。

 

 岸信和 内閣総理大臣秘書官 ご代読による 岸信介 内閣総理大臣のお言葉より

 「教育は如何なる理由があろうとも、権力闘争や政争の具に供してはなりません。一部少数者の言動に盲従して、教育の本義を失うことのないよう毅然たる信念をもって、青少年の教育に当たっていただきたいと思います。」

 

 瀬尾弘吉 文部大臣のお言葉より

 「わが国私学の発展のために貢献された業績に対しては深く敬服するところでありまして、先年氏が藍綬褒章授与の栄典に浴されたのは、まことにゆえありと申すべきであります。」

 

 安井誠一郎 東京都知事のお言葉より

 「この児玉精神によって本当に今の混乱している教育界、思想界を救う透徹した理念、これで充分だと私は考えます。」

 

 小林茂一郎 府中市長のお言葉より

 「外遊数回の広い視野から教育の中道を推し進めておられる御態度は、内外の信望いよいよ厚く昭和十九年に私学功労者として藍綬褒章拝受の光栄を担われたのもまことに当然であります。」

 

 当法人は、今後も「如何なる濁流に遭うとも決して進路をふみはずすことなき、たのもしき人材」が集う法人として、「教育の中道」にある「教育界、思想界を救う透徹した理念」、「世界に信頼される人」という児玉「教育の本義」を、後世へ正確に伝承して参ります。

 さらに、児玉九十は、1960(昭和35)年8月15日、東京・高尾山で開催された私学教育研究所主催新任教員研修会における児玉九十の講演録『私学教育四十七年』(一部抜粋)においても、次の言葉を残しております。

 

 児玉九十は「私学は建学の精神を中心にした同志結束」を大前提として「万有生成発展の大原理たる和」を中心に位置づけた私学教育の真髄を語り、「お若い皆々様の御健闘を切にお願い申上げます。粗末なお話を御清聴下さいましてありがとうございました。何かのご参考になりますれば光栄に存じます。之をもって失礼いたします。」との力強い言葉で、新任教員研修での講演を締め括っております。
 

 『私学教育四十七年』の記述を始め、数多くの自著・講演録は、現在も全く色褪せておらず、決して「粗末なお話」などでも全くなく、私達の「何かのご参考」であり、当法人設立も、「已むに已まれずして私立学校を起す精神は、この誠の精神即ち自らやろうとする自立、自成精神」が根本精神であり、まずは、当法人の目的に掲げた「真実の教育」を、当法人の事業を通して、現代の我が国と世界に広く啓蒙していく「誠の精神」、これを小さな私塾形式の一般社団法人として、一から細々と独立独行の志により、新設する決断をいたしました。

 児玉九十は、1973(昭和48)年、秩父宮雍仁親王妃勢津子さまからも「世界に信頼される日本人」という児玉教育の大目標に対し、お褒めのお言葉を賜りました。児玉九十は、大正後期の欧米教育視察で、英国留学の途にあられた秩父宮雍仁親王殿下に随行を許され、他方、勢津子さまはご実兄の松平一郎氏(陸奥国会津藩主の松平容保公および肥前国佐賀藩主の鍋島直大公のお孫様)が教え子というご縁もあり、我が国のご皇室の皆様には、児玉九十が提唱した「真実の教育」にも、深いご理解を賜っていたために実現した歴史的大偉業であります。

 また、同じ席上、東京帝国大学在学中以来の児玉九十の友人、森戸辰男先生は、児玉九十の足跡の中で、次の3点を強調されております。

 「第一は、しばしば私学に見られるような、政府や官学を目の敵にして対立抗争するということでなく、広い国民的な視野に立って両者の協力共存に努力されたことでございます。」

 「第二は、先ほどもしばしば言われたように、世界的の視野に立つ教育方針を明らかにされまして、常に世界に目を向けて、東西両洋の諸国との交流に努められました。特に英国におけるパブリック・スクールの導入により改革を断行されたことは、その一例でございます。と同時に、東洋の、特にわが国の優れた教育伝統を維持することに非常に努力を払われました。

​ 「第三に、このような西洋的な、また、東洋的な改革を実行するにあたりまして、観念的な形でこれを推進するのではなく、協力、協調による実践を重視されたのでございます。この点は、私どもの当面しております教育改革にとりまして、尊い教訓だと私は信じております。私が関係しました戦後、戦争直後の、二十年前の教育改革におきましても、当面しております第三の教育改革におきましても、児玉先生がご関係になった教育刷新委員会におけると同様に、私どもは西洋の文化と教育の優れたものを導入することに最善を尽くすのでありますが、同時に、この努力は、西洋の優れた文物をわが国民の精神的な成長の栄養とすることでありまして、かりそめにも、日本人を西洋人にすることでも、無国籍なコスモポリタンにすることでもないのであります。彼らを国際的に対処できる、そして尊敬されるたくましい日本人に育成するためであります。」

 森戸辰男先生は、児玉九十と出会い、お互いにそれそれ信ずる理想に燃えた青春時代以来、お互いの考え方を認め合い、人として互いに信頼しあっていた友人だからこそ、児玉九十の教育精神に対して、このように的確な理解に基づいた公平な論評を残されたのであります。

 これらの歴史的資料から児玉教育を考察すると、「金庫の鍵を安心して任せられるような、信頼できる人」として「世の中に迎えられ、信頼され」る「世界に信頼される人」の育成は、戦前・戦中・戦後も一貫し、児玉九十が提唱した「真実の教育」の真髄であります。

 また、岸信介 内閣総理大臣のお言葉にあった「教育の本義」、安井誠一郎 東京都知事のお言葉にあった「教育界、思想界を救う透徹した理念」が、児玉教育において何であるのかといえば、「世界に信頼される人」の育成を大目標とする「真実の教育」なのであります。

 

 当法人設立に際し、設立時社員一同、児玉九十の自著・講演録の考察を行って、『私学教育四十七年』の代表的記述と「健康で真面目に努力することによって世界に信頼される人物になろう」という児玉教育の大目標との融合を図り体系化し、「児玉九十が提唱し、児玉三夫が継承した真実の教育、すなわち、万有生成発展の大原理たる和を中心に、指導者の誠の心をもって、森羅万象を教材として、指導を受ける者の自然の心を誠の心に育て上げ、健康で真面目に努力する世界に信頼される人を育成する教育」と理解できるとの結論に達しました。

 

 我が国のご皇室始め多くの皆様から「児玉教育の代名詞」である「世界に信頼される日本人」という児玉教育の大目標に対し、お褒めのお言葉を賜った歴史的事実は、児玉教育の第二世紀も引き続き、当法人の変わらぬ誇りであり続けることを、ここにお約束申し上げます。

 

​ 当法人は、世界唯一の正統な児玉教育の学術教育研究法人、「当法人は児玉教育の正義真理之殿堂である」との気骨により、今後も、「金庫の鍵を安心して任せられるような、信頼できる人」が育まれていくよう、児玉九十が提唱した「真実の教育」の啓蒙に邁進します。

​ 次に、これまでの当法人の設立経緯、設立時役員の選任過程、今後の事業方針につきまして、述べさせて頂きます。

 児玉九十は、1916(大正5)年春、中村春二先生からお誘いを受け、成蹊実務学校に着任し、その同期には、後に夫人となる成蹊小学校訓導(後の成蹊女学校教務主任)の中島ヒサ(実家は栢野家。当時、就学のため、母方の叔父、実験心理学者中島泰蔵博士の養子であった。)がおり、1918(大正7)年、結婚し、後に3人の娘に恵まれました。当法人は、それ以来、児玉家が、約百年も代々提唱した「真実の教育」に基づく、児玉教育の第二世紀を迎えるにあたり、そのガバナンス改革の一環として、新規に児玉家の一般社団法人化を計画したものです。児玉教育、そして、児玉九十・児玉三夫の足跡が忘れられた昨今、その人柄と教育理念を伝える当法人の意義は極めて大きいと考えます。

 当法人は、故児玉伸雄名誉理事長の存在を忘れ、その存立を語ることはできません。

 

 故児玉伸雄氏は、数々の風説流布による混乱を収束させるため、かつて全ての公職を辞任しましたが、まもなく、公職解任・選任手続に関する適法・不適法、そして、土地売買取引・公金使徒なども争点となった民事訴訟で全面勝訴を勝ち取りました。その後、同氏は、一般大衆の皆様から、身の潔白、真の人柄、そして、史実を全く理解されずとも、ひたすらに耐え続け、静かに生きる道を選ばれ、約10年の歳月をかけ、児玉九十・児玉三夫を始め児玉家ゆかりの歴史的資料を適切に整理し、自らの逝去まで厳重保管する一大事業を行われました。

 設立時社員一同、故児玉伸雄氏とそのご遺族のご功績を称え、「この法人の名誉理事長の称号を児玉伸雄に贈る」ことといたしました。

 

 私達は、常に尊敬し、信頼してきた実兄・伯父の故児玉伸雄名誉理事長に対し、今後も誠実に生きて参りたいと考えております。当法人ならびに児玉家は、今日もインターネット空間上に拡散され続けるフェイクニュースを読む度に大変心を痛めており、今後は、一般大衆の皆様にも、故児玉伸雄名誉理事長の身の潔白と真の人柄をご理解頂き、共にご供養頂きますよう、切にお願い申し上げる次第であります。

​ 当法人は、このような歴史的経緯に鑑み、世界唯一の正統な児玉教育の学術教育研究法人として、「真実の教育」を正確に後世へ伝えていくため、児玉家の人々が設立時社員で法人格を取得、すなわち、公人の児玉家を一般社団法人化する形で新規設立されるに至りました。

 

 設立時社員総会での満場一致の決議により、児玉敏雄所長及び児玉基副所長を選任し、当法人の役員(設立時理事7名及び設立時監事2名)として、児玉敏雄所長及び児玉基副所長ほか、設立時社員外から科学的道義心ある高潔な人材を選任いたしました。また、設立時理事会での満場一致の決議により、児玉敏雄理事長(代表理事・業務執行理事)及び児玉基副理事長(業務執行理事)が選任されました。

 私達は、当法人の業務執行理事として、理事、監事、社員を始めとする会員の皆様と共に、「至誠」に根ざした「万有生成発展の大原理たる和」をもって迅速で透明性ある業務を執行し、当法人の目的にご賛同頂ける皆様方と共に、是非とも叶えたい三つの夢がございます。

 第一は、児玉家所有の歴史的資料に加え、皆様からお寄せ頂く児玉教育ならびに児玉家ゆかりの品も展示し、丁寧に解説していく「児玉記念館(仮称)」の創設であります。記念館と申しましても、長期持続可能で、極めて健全な法人運営を目指す当法人の小規模な財源に鑑み、不要不急の支出は、厳に控えるべきで、少なくとも年額200〜300万円程度以上の財源(副理事長・副所長による試算)が必要となる実空間でなく、低コストで簡便なインターネット空間上でのサイバー型ミュージアムの設置が望ましいあり方ではないかと考えております。

 第二は、児玉家所有の歴史的資料を活用した学術教育研究活動の推進があります。当法人独自の事業推進に加え、科学的道義心ある他の学術教育研究組織や教育者・研究者との共同研究などを推進することも、当法人の重要な使命です。そのため、当法人の理事・顧問にも、我が国の学術教育研究の多方面の第一線で活躍を続ける学識経験者を多数招聘しております。今後も、随時、招聘する予定であります。

 第三は、児玉九十ならびに児玉三夫を顕彰する奨学・研究・スポーツ・文化活動奨励の基金創設事業であります。​かつて、児玉三夫の父小原屋隆は、家運存亡の危機の中にあっても、その祖父が寺子屋の師匠であったことを忘れず、教育の重要性を見失うことなく、弟の小原國芳先生に対して、次のように述べたと伝わります。

​ 「お前は勉強しろ。……小原家のために」「借金の日延べは出来ても、教育の日延べはできん」

 私達は、この小原屋隆の気骨に感銘を受け、奨学・研究・スポーツ・文化活動奨励の基金創設事業も取り組みたいと決意いたしました。これは、児玉九十が提唱した「真実の教育」に即して言えば、常々「真実の教育」の大目標と述べた「世界に信頼される人」が「世の中に迎えられ信頼され」た後、「世の進歩向上発展に寄与」する段階、すなわち、今日で言う「社会貢献」に相当いたします。それでは、児玉九十は「世界に信頼される人」が社会に羽ばたいた後、「世の進歩向上発展に寄与」する理想像を、どのように考えていたのでしょうか。

 児玉九十が思い描いた「世の進歩向上発展に寄与」する理想は、意外な人物を例として取り上げ、説明されております。児玉九十は、1959(昭和34)年5月、私達の母校である慶應義塾大学理工学部(旧工学部、藤原工業大学の後身)の礎を築かれた藤原銀次郎翁90歳祝賀会の席上で発表された藤原科学財団の設立について、評論『藤原銀次郎翁の美挙  - 日本版ノーベル賞 - 』で、次の言葉を残しております。

 従って、児玉九十は、学術教育研究に対する「社会連帯の精神」、「もちつもたれつの相互扶助の精神」、つまり、「世界に信頼される人」としての「社会貢献」の理想像について、米国における製鉄王のカーネギー氏、石油王のロックフェラー、自動車王のフォード氏の「社会貢献」を紹介しながら、我が国では、藤原銀次郎翁の姿に見出しておりました。「世界に信頼される人」として児玉家に生まれ育った私達は、日本最古の近代学塾である慶應義塾において、初めて「社会貢献」の考えを学ぶ機会に恵まれ、まさに「世の中に迎えられ信頼され、世の進歩向上発展に寄与する人物」を目指す児玉教育長期一貫人材育成システムに即した「体験教育」であったと感じております。

 しかしながら、児玉九十が美挙と評した藤原銀次郎翁が先導した「社会貢献」の美風は、未だ盛んとは言い難く、かつての小原屋隆・國芳先生兄弟同様、困難に立ち向かうご家庭もあるでしょう。しかし、そのような困難に打ち勝つ強い心を持った若者にこそ、個性豊かな人材を育てる私学教育を体験して頂きたいと考えております。私達は、藤原銀次郎翁に比べれば、私財も桁違いに少なく、経済的余裕など全くありません。しかし、多くの歴史的資料、そして、児玉家代々が脈々と培った「至誠」と「仰和」に基づいた児玉教育の基本理念「真実の教育」を「終始一誠意」の一念で貫くからこそ、学術教育研究活動を通して、藤原銀次郎翁のような「社会貢献」を広める一助も可能かと考えております。今後、当法人をご支援頂く会員の個人・団体の皆様と共に、私学振興の一助となる具体的支援事業を検討いたします。

 児玉九十が中等教育を代表した戦前・戦中・戦後の激動の時代にあって、高等教育を代表し、児玉九十と苦楽を共にされた小泉信三先生は、前述の藤原工業大学の入学式で、福澤諭吉先生の『慶應義塾之記』を思い起こし、「自我作古」と訓辞されたと伝わります。前人未到の新しい分野で予想される困難や試練に耐えて開拓に当たる決意は、並大抵のことではありません。しかし、私達は、長年培った、多くの私学精神を胸に、「終始一誠意」の一念で、児玉教育第二世紀の確かな歩みを、これまでと同様に刻み続けることをお約束申し上げます。
 

 私達も、1927(昭和2)年4月、児玉九十が述べた言葉を思い起こし、それ以来、終始一貫変わらぬ独立独行の志による「世の中に迎えられ信頼され、世の進歩向上発展に寄与する人物」達による「正義真理之殿堂」たるべく、「真実の教育」に資する事業を展開して参ります。

 本年2018(平成30)年は、児玉九十生誕130年、そして、「夫婦相和し」という「万有生成発展の大原理たる和」を象徴する児玉九十・ヒサ夫妻成婚100年の節目にあたり、まさに、児玉教育第二世紀の幕開けに相応しい年、目下、細やかな記念事業の開催も検討しております。

 今後とも、児玉家歴代と同様に、当法人にも、変わらぬ、ご理解、ご協力、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

​一般社団法人児玉教育総合研究所

​〒183-0055 東京都府中市府中町1丁目16番地の7

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